Xperia acro

Xperia acro：日本の市場ニーズに応えた進化型スマートフォン

ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ（現ソニーモバイルコミュニケーションズ）が開発したXperia acroは、グローバルモデルであるXperia arcをベースに、日本市場のニーズを反映した改良を加えたスマートフォンです。Xperia arcの洗練されたデザインと機能性を継承しつつ、おサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信といった日本特有の機能を新たに搭載することで、国内ユーザーにとってより使い勝手の良い端末を実現しています。

日本市場への最適化

Xperia acroは、NTTドコモとau（KDDI・沖縄セルラー電話連合）から、それぞれ通信仕様やサービス内容に合わせてSO-02C（ドコモ）、IS11S（au）として販売されました。両モデルの基本的な機能は共通していますが、キャリア独自のアプリケーションなどが搭載されている点が異なります。当初は、非公式にSO-02Cを「Azusa」、IS11Sを「Akane」と呼ぶこともありました。

Xperia arcの特徴であった背面の曲面デザインは、追加機能の搭載に伴い平面に変更され、重量も約18g増加しています。この変更により、機能性の向上とデザインのバランスが再構築されました。また、IS11Sは発売当初はキャリアメールに対応していませんでしたが、後日のアップデートで対応が実現しています。メモリ容量の都合上、日本版Xperia acroはAndroid 4.0へのアップデートは提供されませんでしたが、海外版Xperia arcのROMを利用することでアップデートが可能であることが知られています。

デザインと基本スペック

Xperia acroの基本的な性能やデザインはXperia arcを踏襲しつつ、日本のユーザーにとって使いやすいように改良が加えられています。背面は平面になり、重量は117gから135g、厚さは8.7mmから11.8mmに増加しました。また、LEDランプの位置も側面から正面上部に移動し、視認性が向上しています。カラーバリエーションには、NTTドコモ向けにAqua（青）、au向けにRuby（赤）が用意されました。

主なスペックは以下の通りです。

OS: Android 2.3 (Gingerbread)
CPU: 1GHz Qualcomm Snapdragon プロセッサ
RAM: 512 MB
内蔵メモリ: 380MB (1GBの内蔵ストレージのうち、約6割がシステム領域として使用)
外部メモリ: microSD (最大2GB)またはmicroSDHC (最大32GB)
ディスプレイ: 854x480ピクセル, 4.2インチ Reality display, モバイルブラビアエンジン
カメラ: 8.1メガピクセルカメラ (Exmor R)
その他: HDMI出力、おサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信など

主要機能

ホーム画面: ソニー・エリクソン独自のホーム画面には、「ステージ」機能が搭載され、よく使うアプリを画面下部に常に表示できます。アプリトレイの並び順も変更可能で、ウィジェットを一括表示する機能も備えています。さらに、iC通信とトルカにも対応しています。

ディスプレイ: Xperia arcと同等の高精細な4.2インチReality Displayを搭載。Clear Black Panelにより反射を抑え、明るい場所でも見やすく、モバイルブラビアエンジンによる高画質表示も特徴です。

カメラ: 裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R for mobile」とF2.4の明るいレンズにより、暗い場所でも鮮明な撮影が可能です。720p HD動画撮影にも対応し、顔認識エンジン、コンティニュアス・オートフォーカス、シーン別撮影機能などを搭載しています。

入力方法: 日本語入力システムには「POBox Touch 4.1」を採用。QWERTY、50音、12キーなど、様々な入力モードに対応しています。12キー入力ではフリック入力も可能です。入力予測変換機能やキー配列のカスタマイズも可能です。

ワンセグ: ワンセグ視聴機能を搭載。チャンネルの自動選局や、本体を傾けることでフル画面表示への切り替えが可能です。最大120分のスリープモードに対応していますが、録画機能はありません。

FMラジオ: ヘッドホンをアンテナとして利用するFMラジオ機能を搭載。TrackIDとの連携により、聴いている音楽の楽曲情報を取得できます。ワイドFMには非対応です。

Timescape: Xperia X10から搭載されているアプリで、新着通知をタイル状に時系列で表示します。Facebook、Twitter、mixi、SMS、不在着信、メールなどの通知に対応しています。

TrackID: 楽曲情報を自動で認識するTrackID機能を搭載。FMラジオやマイク録音から音楽情報を取得し、mora touchでの楽曲購入やYouTubeでの動画検索などに利用できます。

その他: ノイズキャンセリング機能、ミュージックプレイヤー、DLNAサーバー、プレイステーション スイート（アップデートで対応）なども搭載しています。

まとめ

Xperia acroは、Xperia arcをベースに、日本市場のニーズに合わせて最適化されたスマートフォンです。高性能なスペックと、おサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信といった日本独自の機能が融合した、バランスの取れた端末と言えるでしょう。当時の日本市場において、多くのユーザーから支持されたモデルの一つでした。

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